発達栄養は発達障害児の心身の成長のための栄養を意味しますが、発達栄養を進めるためには発達障害児の身体的な特徴を知り、それに合わせた栄養摂取を進めるだけでは充分な結果は出せないと考えています。
というのは、発達障害には食の困難さが伴い、極端な偏食もあって、他では考えられないような食べることができない理由があるからです。その理由を知り、対応策を考えながら、さらに不足する栄養を補っていくという、非常に困難な対応が求められるからです。
発達障害についての知識と認識は、それぞれの立場やリテラシーなどによって違いがあり、食事の困難さは食事に関わる機能(歯や口腔内の状態、味覚、嗅覚、視覚、聴覚、触覚など)だけで起こっているわけではないということに気づかないと、従来の栄養摂取や食事面での対応に終わってしまうことにもなります。
実際に発達障害児の改善を目指した食事指導についての書籍やネット情報を見ても、もう少し発達障害児の特性と気持ちが理解できていれば、もっと違った提案があったはず、つまり解決できる方法が示せたはずと思うことが多くなっています。
発達障害児は文部科学省の調査では、通常学級の担任が発達障害と認識できている生徒学生の割合は8.8%と報告されています。以前から言われてきた10%は存在するという推測は、実はもっと多いはずという確信になってきています。
発達栄養による支援を進めるには、その前提になるのは発達障害の理解であり、そのためには発達障害の理解を進める発達障害サポーターが必要だと強く感じています。特別なことをするのではなく、少しでも理解者を増やして、それぞれの方ができるところから支援を始めるという体制が必要で、その土台があってこそ発達栄養の恩恵を発達障害児と保護者が受けることができると考えています。
〔発達支援推進協議会 小林正人〕