発達支援推進7 差別解消の合理的配慮

発達障害がある人は、一般的に言われる障害者と比べると見た目ではわかりにくいこともあり、困難さを抱えていることも気づきにくいことがあります。その気づきにくいことを察知して、手を差し伸べるには、発達障害について理解することが非常に重要です。

しかし、発達障害は障害と見ない風潮もあり、障害者の差別を解消するために活動している社会運動からも外されてしまうこともあります。

障害者の差別の解消することを目的とした法律は障害者差別解消法(正式名称「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」)といい、2016年に施行されました。障害がある人の人権が障害のない人と同じように保障されるとともに、教育などの社会生活に平等に参加できる共生社会の実現のために、合理的配慮をすることが国、地方公共団体、国民の責務とされました。

合理的配慮というのは、社会的なバリアのことで、障害者から自治体や事業者がバリアを取り除くことを求められたときには、自治体は負担が重すぎない範囲で対応すること、事業者は対応に努めることが定められています。事業者というのは仕事として実施する会社や団体だけでなく、ボランティア活動をするグループなども事業者に該当します。

障害者というと身体障害、知的障害、精神障害、難病による障害がイメージされますが、障害者差別解消法の障害者には発達障害者と発達障害児も含まれています。合理的配慮が行政、学校、企業などの事業者に求められるようになり、必要に応じて可能な限り、合理的配慮を提供することがいわば義務化されたわけです。

障害者差別解消法に基づいた発達障害児の支援のための合理的配慮の一環として、自閉症スペクトラム障害、注意欠陥・多動性障害、学習障害がある子どもが学校などで安心して学び、社会で育つことができるように、発達障害児の理解を進めることを目指した普及活動としています。

この実現のためには、発達障害の社会的な理解を進めることも大切で、障害者差別解消法が定める差別を気づかないままにしていることがわからないことには、発達障害者と発達障害児の社会的障壁を取り除くことも難しいことになります。だから、理解を進める活動に取り組んでいるのです。
〔発達支援推進協議会 小林正人〕