発達支援推進8 “発達障がい”と表示しない理由

発達障害は法律(発達障害者支援法)にも医療にも使われている用語で、これに準拠して多くの場面では“発達障害”が使われています。これに対して“発達障がい”と、“害”の文字を使わないようにしている例もあります。

害は危害や公害などにも使われて、害を為すものという印象が抱かれることもあり、マイナスのイメージを与えることから、地方自治体や企業、団体などでは“発達障がい”を使用するところも増えています。法人名や活動名にも“発達障がい”が使われる場面も増えています。

NHKの表記では障害を使っています。ここでいう障害とは障害者本人ではなくて、社会側の障害のことであり、障害者は社会の障害に向き合っている人たちだという考え方をしています。そして、社会の障害を取り除くことが重要であるということを示しています。

大切なのは表記ではなくて気持ち、意識であるということです。

車椅子で移動している人が、2階に上がりたくても階段しかなくて、上がることができない状態が障害となります。2階に上がるのを手助けしてくれる人がいなかったら対処することができず、障害をなくするように取り組むこと、周囲から手を差し伸べて障害を感じなくするようにすることが、障害者とともに社会の障害に向かっていくこととして求められています。

発達障害の場合には、一般に認識されている障害とは異なることがあるために、障害と障がいの使い分けが難しいことがあります。この議論を避けようとするのではなく、私たちの活動では「発達支援」として、障害(障がい)の文字を使っていません。発達障害がある子どもと保護者だけでの支援だけでなく、発達障害児も定型発達(発達障害でない)の子どもも支援すること、そして当事者を取り巻く方々や地域全体の支援をすることが重要との考え方があるからです。
〔発達支援推進協議会 小林正人〕