発達栄養学103 三大エネルギー源の役割について知っておこう

三大エネルギー源の糖質、脂質、たんぱく質のうち主にエネルギーを作り出す材料となっているのは、糖質と脂質です。糖質は炭水化物から食物繊維を除いたもので、素早く分解・吸収されて、すぐにエネルギー化されます。三大エネルギー源は、全身の細胞の中でエネルギー源となるものの、脳細胞のエネルギー源となるのは糖質に含まれるブドウ糖だけです。ブドウ糖は自然界に存在している代表的な単糖で、他の単糖と結合しています。ブドウ糖1分子と果糖1分子が結合したものが砂糖(ショ糖)です。ブドウ糖という名前は、果物のブドウから初めて発見されたことからつけられました。
脳細胞には余計なものを通過させないように、血液脳関門という血液と脳脊髄液との間で物質交換をするゲートのような仕組みがあります。三大エネルギー源のうち血液脳関門を通過できるのはブドウ糖だけなので、ブドウ糖以外はエネルギー源にならないということです。
脂質は常温で溶けている油と常温で固形の脂があり、合わせて油脂と呼ばれています。脂肪酸が組み合わされて構成されていて脂肪と呼ばれていますが、一般に脂肪というときには脂肪酸3個とグリセロイド1個が結びついた中性脂肪を指しています。ブドウ糖は素早くエネルギー化するということは、長くは使い続けられないということで、ブドウ糖が減ってきたあとには脂肪酸がエネルギー源として使われます。脂肪酸は長く使われるということから、すぐに消費されるブドウ糖は紙に、長く消費される脂肪酸は木に例えられることがあります。
たんぱく質は分解されるとアミノ酸となり、ブドウ糖と脂肪酸が不足したときにはエネルギー源として使われます。たんぱく質は身体を構成する重要な成分で、これがエネルギー源となるということは身を削っている状態となることから、できることならエネルギー源として使われないようにするべきです。1日3食の食事で糖質(ブドウ糖)と脂質(脂肪酸)が充分に補われていれば、たんぱく質は全身の細胞の材料、ホルモンや生化学反応を起こす酵素の原料などとして健康維持に使われることになります。