発達障害の中で、自閉症スペクトラム障害の子どもは、極端な偏食などの食行動異常がみられる場合が多く、それによって栄養学的問題をきたしやすいことが知られています。その反応としては、今までに食べたことがない新奇の食べ物を食べたがらない、特別な歯ごたえ、食べごたえ、特定の食品カテゴリー、食品の色、外見、味、臭い、製造元、パッケージ、温度などにこだわるなどの特徴があげられます。
人間の身体は多種多様な食品から栄養素を摂る必要があり、動物の頂点に立ったときから何でも食べられるようになり、そのために身についた特徴と考えられています。それなのに多様な食品を摂らないことによって、ビタミンやミネラルの欠乏症が多いことが報告されていて、こうした栄養欠乏症は発達の状態に、さらに悪影響を与える可能性があります。
極端な偏食によって、どんな栄養素が不足しているのかは、それぞれの状態によって異なるので決めつけることはできません。実際にどれくらいの食品を食べればよいのかという調査がアメリカで行われています。摂取食品の品目数(月に1回は食べる食品の数)に関する比較では、定型発達児(通常の発達をしているとみられている子ども)では平均54.5品目を食べていたのに対して、自閉症スペクトラム障害児では平均34.5品目と少なくなっていました。そして、摂取食品の種類が少ないほど、栄養欠乏症に陥りやすいことが報告されています。
日本では栄養バランスのために、以前は1日30食品の摂取が言われていましたが、このことは今では言われなくなっています。というのは、厚生労働省の「国民健康・栄養調査」で、栄養バランスが取れている人(調査では成人)は17食品以上であることがわかったからです。
日本人の伝統的な食事は特定の食品を多く食べるのではなく、数多くの食品を少量ずつ摂るもので、これによって日本人の健康は保持されてきました。
ただ多くの食品を摂るだけではなく、不足しているものを補うためには何を食べればよいのか、その食品が食べられない場合には何で補えばよいのかを確認することが大切です。このことについては、日本メディカルダイエット支援機構が栄養指導に用いている「食事チェック表」を使用した摂取頻度調査によって確認することができます。