発達栄養学11 子どもの発育の特性

子どもの成長に必要な栄養素は、成人と同じだと考えられがちです。また、同じバランスで身体の大きさに応じて量を減らせばよいとも考えられがちです。医薬品の場合には、子どもは大人の半分ほどという目安が設けられている種類もあるのですが、栄養素の場合には身体の大きさによって全体的に減らせばよいというものではありません。

大人は身体に取り入れた摂取エネルギー源が増えれば体脂肪が多く蓄積される、摂取エネルギー量よりも使われる消費エネルギー量が多ければ体脂肪が減るというように、出し入れのバランスで考えることができます。

これは自動車にたとえると完成した車体にエンジンを動かす分だけのガソリンを入れればよいという感覚に似ています。ところが、子どもの場合には未完成な状態から完成形の車体に年月をかけて近づけていくということで、走りながら車体を作っているようなものといえます。

その発育中の子どもの社会を作るための栄養素というと、筋肉、内臓、骨、脳などの材料となるたんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルなどを摂ることが重視されます。そのこと自体は間違いではないものの、自動車工場で部品から車体を組み立てていくときには、その作業に携わる人の身体活動のためのエネルギーもいれば、電気も必要になります。

その身体のためのエネルギーを作り出すために必要になるのが三大エネルギー源の糖質、脂質、たんぱく質です。この三大エネルギー源は、身体に取り入れれば、つまり食品を食べれば、そのまま身体の中でエネルギーになってくれるものではありません。

エネルギー化させるためには、エネルギー代謝のメカニズムに合ったビタミン、ミネラル、そして代謝促進成分が必要になります。この代謝を促進するために使われる成分を三大エネルギー源とともに不足することがないように、子どもには摂らなければならない成分があるのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕