三大エネルギー源の糖質、脂質、たんぱく質は体内でエネルギーに変換されます。これ以外はエネルギーとなることができません。三大エネルギー源という言葉は、多くの中から代表的な三つをあげたということではなくて、三つがすべてということを指しています。
三大エネルギー源の糖質はブドウ糖に、脂質は脂肪酸に、たんぱく質はアミノ酸に分解されます。ブドウ糖、脂肪酸、アミノ酸ともにピルビン酸、アセチルCoAを経て、細胞のミトコンドリアの中にあるTCA回路(Tricaboxcylic acid cycle)に入って、9段階の過程を経てエネルギーを発生させます。
この細胞の中で作り出されたエネルギーは、細胞の外に電気のように流れて使われるようなものではありません。発生した細胞の中でのみ使われるもので、他の細胞に伝達されることがない、“地産地消”のような性質となっています。
全身には60兆個以上の細胞があるとされています。全身の細胞は三大エネルギー源を取り入れて、内部でエネルギーを作り出していますが、一つだけ例外があります。その例外が脳細胞です。
脳細胞につながる毛細血管には、血液脳関門があり、必要なものだけを通過させて、不必要なものを通過させないという機能があります。この機能によって、余計な成分が脳細胞に運ばれないように調整して、脳が正常に働くようにされています。
三大エネルギー源のうち血液脳関門を通過できるのはブドウ糖だけであることから、脳細胞はブドウ糖しかエネルギー源として使うことができないということです。
疲れたときに甘いものを食べると元気が出るのも、甘いものを摂ると頭の働きが回復してくるのも脳細胞で不足したブドウ糖が補われるからです。重要な脳の唯一のエネルギー源であるのに、糖質制限をしてブドウ糖を極端に減らすようなことをすると、集中力や記憶力が低下したり、気力が続かないようなことが起こります。
それだけではなくて、脳は全身の働きをコントロールしているため、全身の機能に悪影響が出ることになります。
発達障害の自閉症スペクトラム障害、注意欠陥・多動性障害、学習障害ともに、脳には強い負荷がかかっていることが知られています。負荷が強くなるほど脳にはブドウ糖が多く必要になるため、ブドウ糖を不足させることはできないのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕