発達栄養学124 魚が食べられない子どもの対応1

幼いときには魚をおいしいと言って食べてくれていたのに、成長の途中で急に魚が食べられなくなるということがあります。その原因を探っていくと、食事に関する感覚(味覚、嗅覚、視覚、触覚、聴覚)の問題ではなくて、栄養学的な対応では食べられるようにするのが難しいということに突き当たることもあります。魚は食べ物だと思っていたのに、絵本やDVD、水族館などで可愛いお魚の姿を見て、それ以降は食べ物と考えることができなくなるという例も珍しくはありません。
大人でも観光地で子羊を可愛がったあとで、レストランでラム肉が出てきたら、子羊の姿が頭に浮かんできて食欲が急に湧かなくなってしまった、という話もあります。大人の場合には食欲の問題で済むかもしれませんが、子どもにはショックなことで、さらに発達障害児であった場合には身体が受けつけないということにもなりかねません。
幼いときでも魚が食べられたのは親が骨を取って、さらに食べやすくほぐしてくれるからで、自分で骨を取らなければならなくなったら、急に食べられなくなることもあります。骨を取る、避けて食べるというのが面倒だからということだけではなくて、その思いがあると魚の味や臭いが急に気になり、それが偏食につながることもあります。刺身なら骨がなくて、簡単に食べられることから刺身なら食べられる、その刺身も小骨がある種類の魚ではなくて、マグロしか食べられないという子どももいます。
まずは食べられる魚があり、骨を避ければ食べられる、缶詰の魚なら抵抗が少ないということがあれば、そこから食べるトレーニングをしていくことです。しかし、マグロのように脂肪が多いものばかり食べていると、魚は身体によいといっても脂肪の摂りすぎになるので、量には注意が必要です。