発達栄養学125 魚が食べられない子どもの対応2

魚が食べられないという子どもは、どんな魚でも食べられないという子どももいれば、決まった種類の魚が食べられないという子どももいます。それが発達障害に特徴的にみられる感覚過敏で、五感(味覚、嗅覚、視覚、触覚、聴覚)の反応によって食べられないものがあるというときには、それが困難さにつながっている魚を避けて食べられるものから始めるというのは通常の方法です。
フライが好きな子どもには白身魚フライを食べさせる方法もあります。どんな魚が使われているか衣に包まれているかわからないので、食べやすいということはあっても、その白身魚の正体を知った途端に食べられなくなることもあります。外食店の白身魚フライに使われることが多い白身魚のメルルーサはタラ目メルルーサ科の深海魚(300〜1000m)で、身が締まっているので崩れにくく、加工食品に適しています。食べる機会が一番あるのは白身魚フライバーガーです。
魚嫌いでもマグロなら食べられるということも多いのですが、回転寿司などの安さを売り物にしている店では、マグロと称して通常のマグロよりも白っぽいガストロが使われます。これはマグロではなくてスズキ目サバ科の深海魚で、全長は2mにもなります。
深海魚だけあって、メルルーサもガストロも姿を知ったら食べにくくなるのは大人も子どもも同じことです。
魚が苦手な子どもには、魚の姿が気持ち悪く感じるということも多く、食べられない場合の対処法は、できるだけ姿が見えないようにすることです。魚を調理する場合も、子どもに姿が想像できないように切り身を使います。魚に関する冗談で、「子どもは魚が切り身で泳いでいると思っている」という話があります。教育にはよくないかもしれませんが、食べられるようになるまでは姿を隠すことも手段の一つです。
魚の中でも成長と脳の機能を高めることを考えると、DHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)が豊富に含まれる青背魚を食べてもらいたいところです。イワシ、サンマ、サバなどに多く、骨が気になるだけでなく、味にも特徴があります。これが食べられないということとなら、肉の食感に近い味わいがある赤身魚のマグロ(クロマグロ、キハダマグロ、カジキマグロなど)を出して、食べ慣れてきたところで徐々に小型のカツオ、サバなどへと移っていくようにします。