ミネラルのうち、マグネシウム、銅、亜鉛、マンガン、セレンは補酵素としても働きます。中でも重要となるのは酵素の働きを補う補酵素としてのマグネシウムと亜鉛で、補酵素がなければ酵素は正常な働きをすることができなくなります。それはエネルギー代謝においても同様で、マグネシウムは約300種類、亜鉛は約200種類の酵素のための補酵素となっています。ミネラルには血液中や細胞の内外でイオンとなるものがあり、全身のイオンバランスを保つために使われています。
マグネシウムは、多量元素のミネラルで、体内では60~65%は骨に含まれ、残りは肝臓、筋肉、血液などのタンパク質と結合して存在しています。300種類以上の酵素に作用する補酵素であり、筋肉の収縮、神経の興奮抑制、血管拡張による血圧降下などの作用があります。食品では、ひじきやわかめ、アーモンド、ピーナッツ、大豆などに多く含まれます。
亜鉛は、栄養素の代謝や生命活動などに関わる化学反応に携わるミネラルです。200種類以上の酵素の構成成分であり、体内では皮膚、毛髪、肝臓、腎臓、睾丸、舌の味蕾などの新陳代謝が盛んな細胞に多く含まれます。不足すると新陳代謝の低下から皮膚炎、脱毛、爪の異常、味覚異常などが現れやすくなります。男性の場合には精液欠乏症や勃起不全、女性の場合には胎児の成長不良が起こりやすくなります。また、亜鉛は膵臓から分泌されるインスリンの構成成分で、インスリンの分泌量を調整して血糖値を下げる働きがあります。また、筋肉細胞がインスリンと反応してブドウ糖の取り込みを行う際に必要となります。食品では、カキ、牛肉、豚肉、鶏肉、鶏卵(特に卵黄)、ナッツ類に多く含まれます。
マグネシウムは食品に多量に含まれていますが、亜鉛は微量ミネラルで、体内に少ない量しか存在していないだけに、不足すると大きな影響が出ることになります。微量ミネラルが不足しないように、多く含まれる食品を知っておきたいものです。微量ミネラルは鉄、亜鉛、銅、ヨウ素、セレン、マンガン、モリブデン、クロム、コバルトの9種類です。