発達栄養学129 チーズが食べられない子どもの対応

牛乳が苦手な子どもが多い理由の一つとして、前に超高温殺菌牛乳によるたんぱく質の編成について紹介しました。牛乳が飲めなくても、その加工品である乳製品なら食べられるという子どもは多くなっています。しかし、乳製品は平気でも、チーズになると食べられないという例は少なくありません。
チーズそのものは食べられないもののピザやグラタンなら平気、チーズケーキは大好きという子どもがいます。これはチーズの味が苦手ということではなくて、素材としてのチーズへの抵抗感があるようです。チーズがカビ臭いという思いがあって、青カビ系のブルーチーズのにおいが鼻について、チーズを見るだけで思い出してしまうということがあります。カビが生えたものは食べてはいけないと教えられたことが記憶にあって、そのためにチーズに拒否感を抱くこともあります。
食品に生える青カビの多くは毒性があり、食べてはいけないものですが、ブルーチーズに使う青カビだけは毒性がなくて、食べても平気です。しかし、においは腐っていることを想像させるもので、子どもは嫌いという反応をします。発達障害の感覚過敏がある子どもでは嗅覚が過敏すぎて、少しでも刺激的なにおいがすると身体が受けつけなくなります。
ブルーチーズは食べることができるといっても、カビの成分は残っていて、カビに対するアレルギーがある場合には咳き込む、発疹が出るといったアレルギー反応が起こる場合があります。このアレルギーには程度の差があって、気づかれないまま過ごされることがあります。ところが、カビのにおいへの過敏な反応からアレルギーであることがわかったという例もあります。
本来のチーズといえば生乳を乳酸菌で発酵させたナチュラルチーズですが、乳酸菌が生きていて、熟成が進んでいます。これに対してプロセスチーズはナチュラルチーズを加熱して溶かしてから、乳化剤を加えて固められたものです。乳酸菌は熱によって死滅しているので、熟成されることはありません。軟らかいチーズがナチュラルチーズ、硬いチーズがプロセスチーズという分類ではないということです。
味に変化がないということはチーズが苦手な子どもにとってはプラスとなります。チーズが食べられないといっても、栄養面で問題が起こるものではありませんが、おやつに加工したチーズやヨーグルトを甘くして、少しからでもよいので乳酸菌を摂ることから始めるようにします。