発達栄養学13 歯の形と本数から考える食品のバランス

歯は、歴史的に食べてきたものに相応しい形状と本数になっています。

人間の歯(永久歯)は上下ともに前歯(門歯)が4本、犬歯が2本、臼歯が8本で、上下合わせて32本となっています。前歯は野菜や果物を切る歯であるのと同時に、穀類や豆類などを粗く噛んで細かくする役割をしています。犬歯は肉や魚を切り裂く役割があり、臼歯は粗く噛んだものをすり潰す役割があります。

これに対して、犬の歯は42本もあり、切歯12本、犬歯4本、前臼は16本、後臼歯10本で構成されています。上下の歯の位置がずれていることから臼歯も刃物で切るように働き、肉類を食い千切り、噛み砕くのに適した形状となっています。

草食動物の牛は上側の切歯と犬歯がなくて、上側に12本、下側に20本ある歯は穀類や野菜を食べるのに適した形状になっています。
人間の場合には雑食であることから、草食動物と肉食動物の両方の特徴がある形状となっていて、すべての食品を食べてきたことで現在の形と本数になっているわけです。

これはジャワ原人(ホモ・エレクトゥス)から進化したときに雑食になったからだとされています。

猿の歯は人間と同じく前歯、犬歯、臼歯の組み合わせで合計32本となっています。ただし、歯の形は犬歯が大きいなど人間とは少し変わっていて、これは、すべての食品を食べることができる生物の頂点に立った結果で、雑食に相応しい形に変化してきた結果です。

歴史的に食べてきたものと同じ食生活をするのが健康の維持の基本となりますが、何を、どれくらい食べるかについて歯の種類と数から考えると現状の食事では犬歯が上下に4本ずつあってもよいような状況になっています。また、あまり噛まずに済む食生活では臼歯の本数が少なくてもよいような状況です。

しかし、歯の形状と本数から考えると、食べすぎの肉を減らし、野菜や穀類、豆類を増やすべきで、これによって血管に負担をかける脂肪の摂取を減らし、血圧や中性脂肪値などを安定させるために役立つに食物繊維、ビタミン、ミネラルを多く摂ることができます。

将来的に生活習慣病を予防するための食生活を身につけるためにも、歯のバランスに合った食事内容を考えるようにしたいものです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕