発達栄養学135 食の有効性と安全性の両方での見極めが重要

食品の摂取というと、基本的には必要な栄養素をまずは満たすことが優先されます。子どもの場合は身体の成長に栄養素を使ううえに、身体と脳を働かせるためにも栄養素が多く必要となっていることから、絶対に不足させないこと重要です。しかし、子どもは味覚の発達から敏感に反応する味があり、これが好き嫌いにつながります。発達障害の場合には、好き嫌いの範囲を超えて、絶対に食べられないことによる極端な偏食も起こります。
この場合には、食べられるものから徐々に慣らしていく、食べられるようになってから栄養バランスを取るように考えがちで、欠けている栄養素が含まれる食品として一見すると菓子、おやつと思われるものを食べさせるようにしている保護者もいます。食品の選択肢が狭い状態では、仕方がないという考えにもなりがちです。
食品は栄養素の摂取だけで選ぶのではなく、安全性も重要です。もしも食べられる食品が限られているというなら、その食品の中でも安全性を重視して選ぶ必要があります。食品の安全性というと農薬、食品添加物の話題が中心となってきますが、有害なものが栽培に使われ、加工にも使われているとしたら、食品の数が少ないことは、万が一にも有害性のある物質が残っていた場合には多くの量を摂ってしまうことになります。有害物質の分解は主には肝臓で行われていますが、その分解や解毒のときには多くの種類、多くの量のビタミン、ミネラルが必要になります。有害物質が多く体内に入ってきたときには、その分だけ多くの栄養素を摂る必要があるということです。
一時期「1日30食品」と言われた時代があります。栄養バランスを取るために、1日に30種類の食品を摂ることを推奨した言葉ですが、今では使われなくなっています。それは国民健康・栄養調査によって栄養バランスが取れている人の平均の食品数が17食品であることがわかったからです。
とはいっても、有害物質の分解に多くのビタミン、ミネラルが使われることを考えたら、少ない食品数でよいとは決して言えないはずです。