食育というと、地元の食材を活かしたメニューを提供するイベント的なことが注目されがちですが、その範囲は非常に広いもので、活動の裏付けとして食育基本法が定められています。食育基本法は、食育の基本理念と方向性を明らかにするとともに、食育に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために平成17年に施行されました。
その前文には、「子どもたちが豊かな人間性をはぐくみ、生きる力を身に付けていくためには、何よりも食が重要である」、「食育を、生きる上での基本であって、知育、徳育及び体育の基礎となるべきものと位置付けるとともに、様々な経験を通じて食に関する知識と食を選択する力を習得し、健全な食生活を実践することができる人間を育てる食育を推進することが求められている」、「子どもたちに対する食育は、心身の成長及び人格の形成に大きな影響を及ぼし、生涯にわたって健全な心と身体を培い豊かな人間性をはぐくんでいく基礎となるものである」と規定して、特に子どもに対する食育を重視しています。
また、子どもの食育における教育関係者の役割として、第5条には「子どもの教育、保育等を行う者にあっては、教育、保育等における食育の重要性を十分自覚し、積極的に子どもの食育の推進に関する活動に取り組むこととなるよう、行わなければならない」と書かれています。
食に関する体験活動と食育推進活動の実践については、第6条に「食育は、広く国民が家庭、学校、保育所、地域その他のあらゆる機会とあらゆる場所を利用して、食料の生産から消費等に至るまでの食に関する様々な体験活動を行うとともに、自ら食育の推進のための活動を実践することにより、食に関する理解を深めることを旨として、行わなければならない」と書かれています。
教育関係者の責務としては第11条第1項に書かれていて、「教育ならびに保育(一部略)に関する職務に従事する者並びに教育等に関する関係機関及び関係団体(一部略)は、食に関する関心及び理解の増進に果たすべき重要な役割にかんがみ、基本理念にのっとり、あらゆる機会とあらゆる場所を利用して、積極的に食育を推進するよう努めるとともに、他の者の行う食育の推進に関する活動に協力するよう努めるものとする」といったように規定して、子どもに対する食育の推進のために教育関係者の取り組みが強く期待されています。