発達栄養学39 入浴と食事のタイミングでエネルギーを増やす

食事の前の入浴によって体脂肪の蓄積が変わってきます。それに影響するのは入浴温度で、自律神経の交感神経と副交感神経の切り替えが温度を調整することによって可能となっています。自律神経は、自ら律すると書かれているように、自分の意思では切り替えることができないものとされているものの、室温や入浴の温度によって、思ったようにコントロールすることができます。
入浴温度が38〜40℃では副交感神経の働きが盛んになります。最も盛んになるのは38℃以下ですが、季節によっては寒く感じて緊張感が高まり、副交感神経の働きが低下することになります。そのため、心地よいと感じる程度の低めの温度にするようにします。副交感神経の働きが盛んになると、胃液の分泌量が増え、膵臓から分泌されるホルモンのインスリンの分泌量も増えます。夕方以降は副交感神経の働きが盛んになる時間帯で、その時間に入浴温度によって副交感神経の働きが盛んになると、より多くのインスリンが分泌されるようになります。インスリンには肝臓での脂肪合成を増やす働きがあるので、ぬるめの温度での入浴は体脂肪を増やすことになります。この体脂肪は重要なエネルギー源であって、運動によって消費することで多くのエネルギーを作り出すことができるようになるわけです。
入浴温度が42℃以上になると交感神経の働きが盛んになり、胃液とインスリンの分泌量が減ります。そのために高めの温度での入浴後には脂肪合成が減って、エネルギー代謝の向上には効果的ということになります。それだけでなく、身体が温まることによって脂肪の代謝(燃焼)が進むことになり、多くのエネルギーを作り出して、さらに体脂肪調整ができるということになります。
高めの温度での入浴を長く続けると脳が温まりすぎて、のぼせの原因にもなります。これを防いで長く身体を温めるのが半身浴です。42℃以上の温度の全身浴で充分に身体を温めたあとに、ヘソから下だけをお湯に沈めていると血流が盛んになって身体が温まるものの、脳は温まりすぎず、エネルギー代謝を高めることができるのです。