発達栄養学のテーマとは異なるかもしれませんが、食事と運動、食事と休養の組み合わせによるエネルギー代謝の促進と関係があることなので、運動と休養のタイミングについても紹介させてもらいます。食事のタイミングを変えることができない場合には、運動と休養のタイミングによる代謝促進に取り組むことで、好結果を出すこともできるのです。
運動後に入浴をすると脂肪の代謝が進みにくくなります。その根拠となっているのはリパーゼの存在です。リパーゼは脂肪分解酵素で、食べ物を消化するために分泌されます。その役目を終えた後には一部が血液とともに運ばれて、筋肉の中にも存在しています。リパーゼの働きによって分解された脂肪が筋肉の中で代謝によってエネルギー化されることになりますが、リパーゼは運動を始めてから10分ほどすると筋肉が温まって、酵素の働きが高まります。
そして、運動を終えてからも筋肉が温まっている30分ほどは脂肪分解が起こっています。その結果、脂肪の代謝も進んでいます。身体を休めている間も脂肪の代謝が進むので、この時間を活かさないのはもったいないことです。代謝という言葉はわかりにくいかもしれませんが、脂肪に関しては一般に「燃焼」と呼ばれていることと同じように考えることができます。
運動後に入浴すると、お湯の温度によって筋肉が温まりすぎて、リパーゼの働きが低下します。運動をすると汗が出てくるのは、筋肉の温まりすぎを抑えて、脂肪の分解と代謝を落とさないために起こる反応ということです。
入浴は筋肉の温度が高まりすぎるのに対して、シャワーを浴びた場合には高めの温度であっても熱が奥までは伝わらず、筋肉が温まりすぎることはありません。そのため、運動の後30分間は入浴をせずに、シャワーだけで済ませておいて、体温が下がってきてから入浴することがすすめられます。
シャワーの温度を42℃以上の高めにすると、自律神経の交感神経の働きが盛んになることから、熱めのシャワーは運動後の30分間の脂肪の代謝を高める効果もあるということがわかります。