発達栄養学41 運動と睡眠のタイミングでエネルギーを増やす

筋肉細胞は全身のエネルギー代謝の中心的な存在で、筋肉を増やすと身体や脳を働かせるためのエネルギーは、筋肉が多い人ほど多く発生しているようなイメージが抱かれがちです。三大エネルギー源の糖質(ブドウ糖)、脂質(脂肪酸)が血液中に多いと、筋肉が多いほどエネルギーとして使われるので、太りにくく、やせやすくなるのは間違いがないことです。筋肉で多くエネルギーが作り出されると、それで全身の機能が高まるように思われるようですが、実際には、そんな単純な結果にはなりません。
というのは、細胞の中で作り出されたエネルギーは、その細胞の中だけで使われるもので、他の細胞に伝わって、そこで使われるようなことはありません。筋肉が多くて、多くのエネルギーが作られたとしても、筋肉以外でエネルギーが使われないので、無駄づかいされるように感じるかもしれません。しかし、エネルギーを多く発生させるために身体で起こることが、全身の細胞に影響を与えることであれば、発達に関係する機能を向上させることができるようになります。
その全身の細胞に影響を与えている存在は成長ホルモンです。成長ホルモンは脳下垂体から分泌される成長を促進するホルモンで、代謝を高める働きがあります。成長ホルモンが多く分泌されることで、全身の細胞の機能を高めて、多くのエネルギーを作り出すことができるようになるということです。
成長ホルモンは、成長期の子どもでは1日中、多く分泌されています。成長期を過ぎると運動をした後と、睡眠中に多く分泌されるようになります。この事実から、成長期では運動をしなくても、睡眠が乱れていても成長ホルモンが分泌されるかのように思われることもあるのですが、子どもであっても運動をした後と睡眠中には多くの成長ホルモンが分泌されています。まさに「寝る子は育つ」ということです。
運動をすると成長ホルモンが多く分泌されるといっても、運動をすればよいわけではなくて、運動後に睡眠することによって、さらに分泌量が増えていきます。運動後の睡眠だけでなく、昼間に運動をして深夜に眠ることで成長ホルモンを大きく増やすことができます。成長ホルモンが特に分泌される時間帯は、深夜の0〜2時の間で、この時間帯に熟睡していることで、エネルギーを多く作り出すことができるようになるのです。