発達栄養学46 硬水と軟水の違いによる腸の健康

日本の土地は火山性の土壌であるために、その中に含まれるカルシウムとマグネシウムの量が少ないことから水の性質が軟水となっています。それに対してヨーロッパの土壌にはカルシウムとマグネシウムが多く含まれていることから硬水となっていますが、軟水と硬水の違いの要因は、これだけではありません。
硬水は、水に含まれるカルシウムイオンとマグネシウムイオンが多く、1000ml(1ℓ)中に120mg以上のものです。ヨーロッパの水はミネラルウォーターだけでなく、水道水も硬水です。国土が広く、雨の量が少ない地域は、地面に染み込んだ水が湧き出てくるまでに長い年月がかかり、その間に水の中にカルシウムとマグネシウムが多く溶け込むようになります。カルシウムとマグネシウムは腸壁を刺激するため、硬水を飲むと便通がよくなる人がいる一方で、下痢になる人もいます。
水に含まれるカルシウムイオンとマグネシウムイオンが少なく、1000ml(1ℓ)中に120mg未満のものが軟水です。日本の土壌はカルシウムとマグネシウムが少ない土壌であるうえに、国土が狭く、雨の量が多いために、地下水が湧き出るまでの期間が短く、水に溶け込むカルシウムとマグネシウムが少なくなっています。
ヨーロッパでは国土が狭く、雨が多いイギリスは例外的に軟水となっています。日本では緑茶を色のよい状態で、おいしく飲むことができます。イギリスでは紅茶を、同じように色よく抽出して、おいしく飲むことができます。紅茶の茶葉をフランスに持っていって、水道水で紅茶を淹れると色が濃く、黒くなって、おいしい味も出なくなってしまいます。これは緑茶でも同じことで、その変化を知るにはフランスの硬水のミネラルウォーターで茶葉から緑茶を淹れてみるとわかります。