発達障害では感覚過敏のために食事に影響が出やすくなっています。自閉症スペクトラム障害でも注意欠陥(欠如)・多動性障害でも、安心して食事をすることができにくくなり、これが消化・吸収を低下させることになります。自律神経の副交感神経は胃から消化液を多く分泌させ、腸からの吸収も高まり、蠕動運動も盛んになります。ところが、緊張感が高くなって交感神経の働きが盛んになると消化液は減り、吸収も低下します。そして、蠕動運動も低下するので便通にも影響します。便通が悪いと食欲が低下して、消化にも影響が出るというように悪循環になりかねません。
消化をよくするには、しっかりと噛むことが大切で、そのためには歯が健康な状態でいること、つまり虫歯がないことが重要になります。虫歯は不十分な歯磨きが大きな原因と考えられていますが、それだけでなく、親の喫煙も影響していることが岡山大学の研究によって明らかにされています。
この発表をしたのは岡山大学病院予防歯科、同大学大学院医歯薬学総合研究科予防歯科学分野、同大学保健管理センターによる共同研究グループで、家庭での受動喫煙の曝露期間が10年以上の大学生は、家庭での受動喫煙の曝露がない大学生と比較して、1.5倍も虫歯になりやすいと発表しています。受動喫煙の曝露がある子どもの歯(乳歯)が虫歯になりやすいことは以前から指摘されていましたが、大人の歯(永久歯)が生えそろった若者を対象とした長期間の受動喫煙の曝露に注目した調査は初めてです。
喫煙に関しては、2018年に健康増進法が改正されて、2020年4月からは多くの施設で屋内では原則禁煙となりました。また、20歳未満の喫煙エリアへの立ち入りが禁止されました。外で喫煙できない分だけ家庭内の喫煙が増えることは懸念されていますが、家庭内での受動喫煙については制御できないことは明らかです。受動喫煙は虫歯だけでなく、血流や心肺の機能にも影響を与え、脳の血流も低下することが確認されています。

