脳のエネルギー源はブドウ糖だけです。三大エネルギー源の糖質(ブドウ糖)、脂質(脂肪酸)、たんぱく質(アミノ酸)は、すべての細胞のエネルギー源になるとされていますが、脳細胞だけは別で、脂肪酸もアミノ酸も血管から脳細胞につながる血管脳関門を通過することができません。通過できるのはブドウ糖だけなので、ブドウ糖が脳細胞の唯一のエネルギー源となっているわけです。
ブドウ糖が多く含まれている食品や飲料を摂ると、血液中のブドウ糖の量を示す血糖値が上昇します。血糖値の上昇に反応して、膵臓からは血糖値を降下させる作用があるホルモンのインスリンが分泌されます。インスリンは血糖値が上昇するほど多く分泌されます。砂糖が使われた甘い飲み物を多く飲むと、インスリンが短時間のうちに多く分泌されます。そのためにブドウ糖が全身の細胞に急激に吸収されて、血糖値が一気に降下します。
特に血糖値が急降下しやすいのはブドウ糖が多く含まれたスポーツ飲料などの清涼飲料水で、これを飲むことによって血糖値が急降下するのは“ペットボトル症候群”と呼ばれています。砂糖はブドウ糖1分子と果糖1分子が結合したもので、砂糖の代わりにブドウ糖を使ったものは、同じ分量だったとしたら2倍も血糖値を上昇させ、2倍もインスリンを分泌させることになるということです。
ペットボトル症候群は、血糖値が急降下することで全身の細胞に取り込まれるブドウ糖が急に減ることになるわけですが、脳細胞は一時的であっても取り込まれるブドウ糖が大きく減少すると、脳細胞で作り出されるエネルギーが減って、脳細胞の機能が低下することになります。記憶力や集中力が低下するということだけではなくて、悪くすると意識が低下する、気を失うという危険なことにもなりかねないのです。