発達栄養学66 果物なら太りにくいわけではない

ブドウ糖が多く含まれている糖質を摂ると、血糖値が上昇して、それに伴って膵臓からインスリンが分泌されます。インスリンにはブドウ糖を細胞に取り込んでエネルギー化させる作用と同時に、肝臓で合成される脂肪酸を増やす作用があります。果物(フルーツ)は甘くておいしいもので、ブドウ糖が多いのではないかと思われるかもしれませんが、果物に多く含まれているのは果糖です。同じ分量でも果糖はブドウ糖よりも甘みがあります。
イチゴもメロンも果物と認識されがちです。販売されているところも、果物屋さん、もしくはデパートやスーパーの果物売り場に置かれています。少なくともイチゴもメロンもスイカも野菜売り場には置かれていません。
しかし、定義を確かめてみると、野菜は地面で栽培するもので、果物は木に成るものとされています。この大原則からいくと、地面で栽培するイチゴもメロンもスイカも野菜ということになります。スイカは甘いので野菜ではないという認識は普通の感覚ですが、目を閉じて、鼻をつまんで食べてみるとキュウリにしか感じられなくなります。舌の感覚はそのままでも、目で見る印象と香りが重要な要素です。この実験をすると、なるほどスイカは野菜であることが感じさせられます。
桃も梅も梨も柿も林檎も柑橘類もブドウも、どれも木に成るので、これは果物で間違いありません。品種改良のおかげで、新しい果物の品種が増えて、新種が登場するたびに甘くなる傾向があります。確かに糖度を測定すると、以前よりも数値が高くなっています。それだけおいしくなっているのはよいとしても、糖の中に占めるブドウ糖の量は増えてきています。
果物の甘さのメインは果糖で、ブドウ糖の2倍ほどの甘みがあるのですが、果糖の量には限界があるようで、もっと甘くするにはブドウ糖を増やす品種改良が求められています。果糖はフルクトースと呼ばれる単糖の一種で、木に成る果物、メロン、はちみつなどに多く含まれています。
血糖は血液中のブドウ糖を指しているので、果糖を多く摂っても血糖値は上昇しません。ただし、果糖は肝臓で脂肪酸に合成されやすいので、摂りすぎると中性脂肪を増やして、太る原因にもなります。そのために太るということも覚えておいてほしいことです。