脂肪のエネルギー代謝にはブドウ糖が必要となります。運動を始めてから10〜15分はブドウ糖が主にエネルギー源となり、血液中のブドウ糖が減少してくると脂肪酸が主なエネルギー源となって、その後は長く脂肪酸の代謝が続きます。ブドウ糖が初めから不足していると、筋肉細胞をはじめとした全身の細胞のエネルギー代謝が進みにくくなり、脂肪の代謝に切り替わりにくくなります。そのために多くのエネルギーを作り出せなくなります。
運動の途中で摂取するスポーツドリンクにはブドウ糖が含まれていて、運動をしている最中に水分不足、ブドウ糖不足になったときに飲むことがすすめられています。多くのエネルギーが必要になったときに、再びブドウ糖を補うことで、脂肪の代謝を進めることができるようになります。
マラソン選手が途中で摂取するドリンクには多くのブドウ糖が使われています。ブドウ糖がエネルギー代謝を促進させるということで、運動の前に飲んだほうが、もっと元気が出るのではないかと思って、ブドウ糖を摂ってから走ったり、スポーツを始める人もいます。しかし、それでは、かえってパワーが出なくなります。
適度にブドウ糖が使われて、適度に減っていくことが脂肪酸の代謝には必要です。ところが、血液中のブドウ糖が多すぎる状態で運動をすると、なかなかブドウ糖が減らなくなり、脂肪酸の代謝に切り替わらなくなります。このようなことでは途中でスタミナ切れになって、運動を続けられないということにもなりかねないので、朝食を摂ってから運動を始めて、疲れてきたところでブドウ糖を補給するというのが効果的に脂肪代謝を進めていく方法となります。
ちなみにスポーツドリンクは汗などで体内から失われた水分や糖分(ブドウ糖)、ミネラル(マグネシウム、カルシウムなど)を補うための清涼飲料水です。体液に近い浸透圧になっていることから吸収されやすく、全身の細胞に取り込まれやすく、夏場の熱中症対策にも使われます。