発達栄養学8 発達栄養の特徴

発達障害児を対象とした発達栄養学は、期待をされている割に進まなかった、との指摘を受けることがありますが、それは発達障害の特性が大きく関係しています。同じ子どもに、いくつかのタイプの発達障害があることも珍しくなくて、個人差が非常に大きいという特徴もあります。

また、複数の状態が重なり合って現れることもあり、そのために発達障害の状態を明確に分けることが難しく、定型的な答えが導きにくいことが大きく関係しています。

同じ偏食であっても状態は細かく分かれていて、感覚の振れ幅も非常に大きくなっています。少し酸味がある料理を食べてもレモンを丸かじりしたように感じる例もあります。ほとんど気にならないような辛味が、唐辛子を丸ごと食べたように感じる例もあります。

さまざまな味覚の問題だけでなく、視覚、嗅覚、聴覚、触覚が交じり合い、誰一人として同じ困難さではないということも理解の困難さにつながっています。

発達障害の特徴を完全に知り、すべての反応を知って、それぞれの子どもがどのように感じて食べているのか、それが心身に与えている影響についても理解しなければ、実際の対応もできないことになります。

そのすべてを全体的な講習で学ぶことは困難であり、発達栄養学の講習では基本から学ぶことになりますが、その基本は応用として活かされる内容とする必要があります。そのためには常に多くの例を調査して、本人や家族の実体験を聞き、考えられる改善法が、どの程度通用しているのかも把握する必要があります。

そのためには講習テキストは基本中の基本と考え、常に最新情報を提供すると同時に、実際の発達障害児の反応を集めて分析することも欠かせません。

実際に食事をする発達障害児が、その重要性を理解しなければ、発達栄養学が成果をあげにくいことから、子どもを対象とした講習の機会(食育)を設けることも重要と考えています。

発達障害児の改善のための発達栄養学は、発達障害児以外であっても食事に問題を抱える多くの子どもの改善に役立つものです。そのため、食べることの重要性を知る講習は、すべての子どもを支援対象と考えています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕