発達栄養学98 消化時間は食べたもので違う

食事をすると胃液によって消化が始まり、30分ほどすると小腸からの吸収が始まります。これは始まったということであって、完全に消化されるまでの時間は三大エネルギー源の性質によって異なります。最も早いのは糖質の2時間で、糖質だけを摂ったとすると2時間で空腹を感じることになります。炭水化物食品のご飯にもパンや麺にもたんぱく質と脂肪が含まれているので、2時間以上の時間がかかるものの、糖質が主なので3時間も経たないうちに消化されます。
たんぱく質が完全に消化されるまでは4時間、脂質が完全に消化されるまでには6時間かかります。唾液には消化酵素のアミラーゼが含まれていて、この消化酵素は糖質を分解する作用があります。アミラーゼの働きは胃の中でも続きます。
胃からたんぱく質を消化する消化酵素のペプシンが分泌されていますが、脂質を消化する消化酵素のリパーゼは膵臓から分泌されて、胃に送られます。リパーゼは脂質をグリセロールと脂肪酸に分解するもので、それを消化して吸収されやすくするのは肝臓で作り出される胆汁です。胆汁は十二指腸から分泌されるので、脂肪の消化は十二指腸から小腸で行われることになります。そのために、脂肪が完全に消化されるまでには6時間もかかっています。
脂肪が含まれた食品を食べると、空腹を感じるまでの時間が長くなります。空腹を早く感じてしまい、おやつや次の食事をしたくなる、空腹にまかせて食べすぎてしまうという場合には、脂肪が含まれたものを摂ることが必要になります。こういった三大エネルギー源の消化にかかる時間を知っておくだけで、空腹を感じにくくさせて食事の量をコントロールすることができるようになるということです。