代謝というと全身の細胞の中で起こる生化学反応のことを指しています。特に大きな役割は生命維持に必要なエネルギーを作り出すことであることから、“エネルギー代謝”と表現されることが多くなっています。
エネルギー代謝というと、エネルギー源(糖質、脂質、たんぱく質)を材料にして、細胞の中のエネルギー産生の小器官のミトコンドリアの中でエネルギーを発生させることというのが一般の認識です。これは代謝の一つの働きであって、これは“異化”と呼ばれています。食べたものを異なる形のエネルギーに変化させるという意味です。
細胞の中で発生したエネルギーは、その細胞の中でだけ使われるもので、他に流れていって使われるようなものではありません。全身の健康を考えるなら、全身の細胞にエネルギー源が運ばれる必要があるわけです。
発生したエネルギーの70%は基礎代謝という生命維持のために使われます。そのうちの70%、つまり約半分は体温を維持する(細胞が働けるように温めておく)熱エネルギーとなります。この他には身体を動かす運動エネルギー、神経伝達の電気エネルギー、細胞内の生化学反応のための化学エネルギーとなります。
発達栄養で特に重視しているのは化学エネルギーで、これを使って細胞内では身体を構成する成分や酵素、ホルモン、神経伝達物質などが作り出されています。この部分の代謝が“同化”と呼ばれています。
発達障害に限らず、成長段階の子どもは多くのエネルギーが必要となり、作り出されたエネルギーによって神経伝達物質を作り出しています。ところが、発達障害では神経伝達物質の製造が低下していて、そのために脳や神経の働きが低下するために、発達障害の特性が現れやすくなっています。
発達支援の栄養摂取は、同化を促進するために、異化を促進することが重要で、その役割をしているのが代謝促進成分のL‐カルニチンです。乳幼児と小児はL‐カルニチンの体内合成量が少ないために、異化を進めるための食事の工夫が必要となります。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕