エネルギー源(糖質、脂質、たんぱく質)が細胞のエネルギー産生小器官のミトコンドリアに取り込まれればエネルギー代謝が起こると単純に考えられがちですが、ミトコンドリアに取り込まれる前に高エネルギー化合物のアセチルCoAに変化する必要があります。
そのために必要になるのが水溶性ビタミンです。水溶性ビタミンのビタミンB群とビタミンCは、酵素の働きを補う補酵素として働いて、糖質、脂質、たんぱく質の変化を進めます。
糖質からブドウ糖に分解されるときには水溶性ビタミンは必要ないものの、ブドウ糖がミトコンドリアに入ってアセチルCoAに変化するときにはビタミンB₁、ナイアシン、ビオチン、パントテン酸が必要になります。
脂質から脂肪酸に分解されるときにはビオチンが、逆に脂肪酸から脂質に合成されるときにはナイアシンが必要になります。また、脂肪酸からアセチルCoAに変化するときにはビタミンB₂、ナイアシン、パントテン酸が必要になります。
たんぱく質からアミノ酸に分解されるときにはナイアシンが、逆にアミノ酸からたんぱく質に合成されるときにはビタミンB₆、ビタミンB₁₂、葉酸が必要になります。また、アミノ酸からアセチルCoAに変化するときにはビタミンB₆が必要になります。
そして、アセチルCoAがTCA回路に取り込まれてエネルギー代謝が起こるときにはビタミンB₁、ビタミンB₁₂、葉酸、ナイアシンが必要になります。
これらの働きをする水溶性ビタミンは、どれか1種類があればよいということではなくて、すべての種類が必要になります。エネルギー代謝のためには、水溶性ビタミンは1種類も欠かせない、必要量が確保されないといけないということで、食事の内容が重要になってくるのです。
ところが、発達障害児の中には極端な偏食のために、野菜が食べられないということもあって、ビタミン不足からエネルギー代謝の低下が起こりやすく、そのために改善しにくくなっているということがあるのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕