発達栄養講習20 エルギー物質からエネルギーが発生する仕組み

細胞のミトコンドリアのTCA回路で、エネルギー源(ブドウ糖、脂肪酸)から変化したアセチルCoAという高エネルギー化合物からATP(アデノシン三リン酸)が発生するということを前回紹介しました。

エネルギー源は一般にはブドウ糖、脂肪酸、アミノ酸だと紹介されています。これは私たちの講習でも基本として話していることですが、アミノ酸を外したのは、アミノ酸は身体を構成したり、重要が働きをする酵素やホルモン、神経伝達物質などの材料となるので、エネルギーにならないほうがよい、という考えがあるからです。

だから、ダイエットや健康維持のために、ブドウ糖が含まれる糖質や、脂肪酸が含まれる脂質を減らそうとして、それが行き過ぎることがないように注意喚起もしています。

TCA回路で発生するATPがエネルギーのように思われることがありますが、ATPはエネルギー物質であって、エネルギーそのものではありません。エネルギーはATPからADP(アデノシン二リン酸)に変化するときに発生します。

ATPはアデノシン(塩基と糖が結合した化合物)に3分子のリン酸が結びついた形をしています。そこからリン酸1分子が離れて2分子のリン酸が結びついたものがADPです。

ATPはTCA回路で突然発生するものではなくて、ADPにリン酸1分子が結びついてATPに変化しています。TCA回路では、ADPにリン酸1分子を結びつけて、ATPにするために、複雑な生化学反応を起こしていることになります。

多くのエネルギーが必要な状況になると、ADPからリン酸1分子が離れて1分子のリン酸が結びついたAMP(アデノシン一リン酸)にも変化します。このときにもエネルギーが発生します。

ATPからADPに変化するときには7.3kcalのエネルギーが発生するとされています。わずかな量ですが、これが繰り返されることで身体に必要な多くのエネルギーが作り出されているわけです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕