発達栄養講習26 自律神経と栄養摂取の関係

発達障害の特性の一つに自律神経の調整がうまくいかないことがあげられます。自律神経は自分の意思とは関係なく、環境や身体の状況に応じて自動的に調整されるものとされます。通常では、そのとおりなのですが、発達障害があると自動的な調整ができにくくなります。

その原因として、神経伝達物質のセロトニンの不足によって興奮作用のあるドーパミンやアドレナリンの働きすぎを抑えきれないことがあげられています。それだけではなく、変化をキャッチする機能や、それに反応して調整する機能が低下していることが考えられています。自律神経を調整する方法は複数ありますが、その中でも食事から始まる一連の生活パターンを整えていく方法を重点的に紹介しています。

自律神経は、亢進作用がある交感神経と抑制作用がある副交感神経があり、朝から夕方までは交感神経の働きが盛んになり、夕方以降は副交感神経の働きが盛んになるという、大きな波のような状態が繰り返されています。食事をすると消化、吸収、吸収されたもの以外の排泄というのが大きな流れです。

消化液の分泌、栄養素の吸収、腸の蠕動運動、排泄の促進をするのは副交感神経の作用です。副交感神経が働く時間帯に交感神経の働きが盛んになると、これらの機能が低下して、栄養摂取だけでなく、血液循環も臓器などでの代謝も低下します。そのことによって、身体と脳を働かせるための栄養摂取も不十分になって、エネルギー代謝が低下することにもなります。

脳や神経の働きは、細胞の中で充分なエネルギー産生が行われて、発生したエネルギーを使って神経伝達がスムーズに行われることで保たれています。

自律神経の調整のためには、消化、吸収、排泄を整えて、副交感神経の働きを盛んにすること、それによって消化、吸収、排泄を整えていくという繰り返しが重要になるということです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕