子どもの箸の持ち方は誰が教えるのかといえば、ほとんどの人が家族だと答えるはずです。少なくとも学校で給食のときに教えてくれとは言わないものと思っていたところ、保護者から正しい箸の持ち方と使い方を教えてくれないと困ると言われた教師の話を聞きました。
箸の持ち方と使い方を教えるということは、日本料理の基本を身につけさせることだから、何も困ることではないではないか、という考えもあるのですが、その理由によっては問題点もあり、ただ持ち方と使い方を教えればよいということではないのです。
子どもの朝食の内容を調べるために、インスタントカメラの「写ルンです」を渡して撮影を依頼したことがあります。デジタル撮影が当たり前の時代に、あえて「写ルンです」を使うのは、巻き戻しができないからです。食べた内容を食べた順番で加工されない状態で記録して、これを比較するには今も絶好の方法となっています。
箸を上手に使って食べる料理は、手間がかかるものが多く、そのような食事を家庭で実践しているのかは重要な調査項目です。朝食は“手抜き”状態であっても昼食と夕食は充実しているという家庭があることは承知しています。しかし、朝食には1日を通じての食事の内容が一端でも現れやすく、それを観察する手段となっています。
朝食の内容、というよりも、これを朝食で呼んでいいのかというような菓子だけ、飲み物だけということもあり、前日(昼食、夕食)の残り物を出すというのは、まだよいほうです。朝は時間がないのは事実であっても、短時間のうちに一気に掻き込むような食べ方をする料理だけという家庭もあります。
箸を使っていたら間に合わないので、流し込むような朝食になっている例も少なくありません。そのため使っているのはスプーンだけということもあります。
食事の調査というと料理が中心になっていて、箸やスプーンなど、何を使って食べているのかが抜け落ちていることもあるのですが、そのようなことも注意して調べないと実態がわからず、指導を誤ることにもなりかねないのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕