発達栄養というと、発達障害と栄養を組み合わせた言葉ということで、成長と栄養の話が注目されがちですが、私たちは自律神経の調整も重要な事項として研究・教育に当たっています。自律神経は全身の働きを調整する重要な神経系統で、交感神経と副交感神経に分かれています。交感神経も副交感神経も全身に張り巡らされていて、交感神経は働きを高めるアクセルの役割を、副交感神経は働きを抑えるブレーキの役割をしています。
栄養に関することでいうと、消化(口腔と胃)、吸収(腸)、循環(血流)、代謝(全身の細胞の働き)、排泄(大腸)までの一連の流れは、すべて自律神経が調整しています。機能を高めるというと興奮作用がある交感神経の働きかと思われるところですが、消化液を出すのも、吸収を高めるのも、腸の蠕動運動も、血流を盛んにするのも、細胞の働きを高めるのも、そして排泄を進めるのも、すべて副交感神経の働きによるものです。
この自律神経の調整は発達障害があると乱れやすく、そのために食べてから出すまでの生きていくための機能が低下しやすくなっています。その改善のためには、副交感神経の調整をする神経伝達物質のセロトニンが必要になるものの、体内での合成量が少ないことも発達障害の特性となっています。
そのために成長や機能を高めるために、必要な栄養素を摂取しても、それが充分に働かないことになります。ましてや発達障害では食の困難さがあり、栄養吸収がスムーズにいかないことがあり、悪循環を起こす結果になりがちです。
その改善のためには、栄養摂取、自律神経調整に加えて、それらに影響を与える心理的な要因までを理解することが重要になるため、発達栄養の講習では発達障害の特性、食の困難さ、脳科学(といっても難しい話ではなくて理解できるように考えています)と、栄養学の基本的なことを伝える内容としています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕