発達栄養講習44 菓子売り場で見かける“しつけ”

子どもはお菓子が大好きです。単に嗜好品としてだけではなくて、エネルギー源の摂取のためでもあり、脳の機能の保持などにも必要であることから、お菓子を食べたがるのは本能的な部分もあります。それは認めるので、菓子売り場で食べたいものを強請(ねだ)る、買ってくれないと愚図(ぐず)るということまでは許容範囲と考えています。

しかし、早くお菓子を食べたいと、まだ会計を済ましていないのに袋を破ったり、破って食べるという子どももいます。それはルール違反であることを教えるのは親の責任と考えられるところですが、発達障害児の場合には、社会的なコニュニケーションが苦手で、自分の行動を抑えにくいという特徴があることから、ただ言うだけ、注意するだけでは解決しないことがあります。

理解するまで、まるで叱るようにして説明したとしても、コントロールできないことがあるという特性を考えると、菓子売り場(だけでなくて子どもが好きな食べ物、場合によっては玩具)では付き添って、行動を見守ってあげることが必要です。

ところが、買い物に集中すると、保護者のほうの注意が足りなくなって、店側にとって困ったことが起こることもあります。そのときに、保護者がルールに即した態度でレジに向かってくれればよいのですが、食べかけの菓子を見せて、特に何も言わずに会計を済ませようとするシーンを見たことがあります。

このことを菓子売り場で働く方に話したら、それは当たり前に起こることで、それに腹を立てたり、注意をしていたらレジ作業が進まないのでスルーしているということを聞きました。そのような態度だから、子どもの勝手にさせている保護者が減らない、などと、こちらが腹を立てるのではなく、発達障害児は10人に1人にもなっていて、保護者の方々も大変であるという状況を長く経験してきた結果であることを、これも理解する必要があると感じています。

そこまでは許容範囲としても、中には子どもが食べたいあまりに袋の外側から舐めるといったこともあり、それを購入するならまだしも、そのまま子どもが陳列棚に戻しても何も言わない、保護者が戻すということもあります。

ここまでくると、子どもの特性というよりも衛生面もあり、他の方に迷惑をかけることになるので、そのようなことだけは家族でしつけるのは当然のことです。しつけは漢字では躾と書くように、身が美しくないような行為は避けるべきであり、自分や子どもが他人の舐めたものを買うようなことになったことを考えてから、行動してほしいのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕