発達栄養講習49 王道としての栄養知識

定番の方法は「王道」と言われることがあります。王道は「定番」の意味で使われることが多いのですが、実際には「楽な方法」を意味しています。誤った使い方をしている人が多く、本来の意味を知っている人は少数派です。

これは従来には行くのが困難だったところに、王様が道を作らせたことによって、楽に早くつけることになったという故事から誕生した言葉で、「安易な方法」というのが本来の意味です。

発達障害児には極端な偏食がみられることが多く、それを改善するための方法として定番のような王道があればよいものの、誤った意味の王道(楽な方法)が選ばれることがあります。

極端な偏食という食事の困難さを解決する方法として、不足する栄養素を確認して、それを他の食べられる食材に置き換える、多くの栄養素が含まれる食品を取り入れるということを選択するべきです。

ところが、これまでの料理を変えたくない、時間をかけたくないということもあって、王道(本来の意)として、サプリメントを使おうと考える保護者も少なくありません。不足するものをサプリメントで補うことができたなら、それで食事の工夫はいらないというように考えているのかもしれませんが、食事は栄養素を補給すればよいというものではありません。

その理由については、これまでのシリーズの中で再三触れてきましたが、食材や料理に季節感を感じて、噛んで味わって食べることの健康効果、食べることを通じて文化性を身につけるといった重要なことを忘れてしまってはいけないのです。

簡単にサプリメントが使えないとなると、食材の工夫、料理の工夫、食べるための工夫、それに心理的な面まで工夫しなければならなくなるのですが、その人の一生涯の健康と感性などを作るのが食事であるだけに、工夫の基本となる栄養知識を、しっかりと身につけることが必要で、それを支えるアドバイザーの育成が急がれます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕