発達栄養130 脂肪の摂取と腸内環境

エネルギー源(糖質、脂質、たんぱく質)のうち脂質は撮り過ぎを控えるべきものと考えられがちです。脂質は油脂(中性脂肪)、脂肪酸、コレステロールなどの総称のことですが、一般には動物性食品に含まれる中性脂肪、植物性食品に含まれる脂肪酸を指しています。

脂肪はエネルギー量が高くて、1gあたり約9kcalと糖質やたんぱく質の2倍以上のエネルギー量があります。それだけに脂肪を多く摂取すると体内の脂肪細胞に蓄積される中性脂肪が多くなりやすく、それが生活習慣病の要因になることも確かです。

しかし、エネルギー量が多いということは、これをエネルギー源として代謝すれば多くのエネルギーを作り出して、これを身体活動や細胞内で必要な物質を作り出すことができるようになります。

脂肪が健康にマイナスになるのか、それともプラスになるのかは、エネルギー代謝の高め方次第ということになります。

発達障害では心身に負担がかかっていることからエネルギーの消費量が多く、体脂肪(内臓脂肪、皮下脂肪)が少なくなりやすいので、脂肪の摂取は重要になります。それは間違いがないことですが、発達障害では自律神経の働きが乱れやすく、そのために腸内環境が乱れやすい子どもは、脂肪の摂取量に配慮する必要があります。

発達障害では自律神経の副交感神経の働きが低いことから、副交感神経によって盛んになる腸の蠕動運動も低下して、便通が悪くなりがちです。便通が悪くなる、もう一つの要素は腸内細菌の善玉菌の減少、悪玉菌の増加です。

悪玉菌の主な栄養源(エサ)となるのは動物性たんぱく質と脂肪です。肉食、魚食が多いと両方の摂取量が多くなって、悪玉菌が増えやすく、善玉菌が増えにくくなります。

エネルギー不足の子どもには、脂肪でエネルギー摂取を増やすよりも、糖質での摂取を増やすことがすすめられます。というのは、糖質は善玉菌の主な栄養源となっているからです。