発達栄養133 糖質の摂取と腸内環境

糖質が含まれる食品は、ご飯、パン、麺類などがあります。これらは炭水化物とも呼ばれていますが、炭水化物から食物繊維を除いたものが糖質です。糖質は消化によって分解されると澱粉(でんぷん)になり、さらに分解されていってブドウ糖になります。ブドウ糖は単糖と呼ばれていて、これ以上に小さくなることはありません。

糖質は太る原因とされ、ブドウ糖の過剰摂取が糖尿病の原因とされることから悪玉扱いされることがあり、糖尿病の予防と改善のために“糖質制限”をすすめる医師や栄養士などもいます。

ブドウ糖が血液中に多くなると、いわゆる高血糖状態となります。血糖は血液中のブドウ糖を指しています。血糖値が高くなると膵臓からインスリンが多く分泌されます。その働きは、一つはブドウ糖を細胞に取り込ませる働きで、血糖値を下げる唯一のホルモンとされています。

もう一つは肝臓で合成される脂肪酸を増やす働きで、血液中で多くなりすぎたブドウ糖は脂肪酸にも変化します。そのために、ブドウ糖を減らすことで脂肪合成が抑えられるようになり、糖尿病だけでなく脂質異常症(高中性脂肪血症)の予防・改善の効果も言われます。

糖質制限では、糖質を減らすとエネルギー源の摂取が減るので、たんぱく質を増やすように言われます。中でも肉食を増やすことがすすめられます。

このことが腸内環境を乱すことにもなります。というのは、腸内細菌の善玉菌は糖質を主な栄養源としていて、悪玉菌は動物性たんぱく質と脂肪を主な栄養源としています。糖質が少なく、肉が多い食事は善玉菌が増えにくく、悪玉菌が増えやすいという困った腸内環境にしているからです。