細胞の中のミトコンドリアは酸素を使ってエネルギー物質のATP(アデノシン三リン酸)を産生していることから、ミトコンドリア内でエネルギーが作り出されるときに活性酸素が発生します。その量は取り込まれた酸素のうち2〜3%にもなります。酸素は正常な状態ではプラスとマイナスの電子が4個ずつ存在していますが、活性酸素はプラスとマイナスの電子のバランスが崩れた酸素のことで、細胞の電子を奪うことで細胞を破壊したり、細胞内の遺伝子(DNA)を傷つけたりしていきます。
ミトコンドリア内のDNAは損傷されやすく、ミトコンドリア内で活性酸素が多く発生するとミトコンドリアの機能が低下していくようになります。機能が低下したミトコンドリアが多くなると、その細胞は必要なエネルギーが産生できなくなります。特にエネルギー代謝が盛んな骨格筋や神経細胞は影響を受けやすく、ミトコンドリアが劣化することによって細胞死のアポトーシス(細胞死)が起こるようになって、筋肉が減っていくようにもなります。
子どもの場合にはミトコンドリアの劣化は起こりにくいものの、中高年以降で筋肉量が減り、身体が小さくなっていくのはミトコンドリアの劣化が一つの重要な原因と考えられています。
ミトコンドリアを増やすためには有酸素運動が必要で、その有酸素運動によって活性酸素が多く発生したのではマイナスになるように感じるかもしれません。しかし、有酸素運動によってブドウ糖や脂肪酸を効率よく代謝(燃焼)させていると活性酸素の発生量を減らすことができます。活性酸素は不完全燃焼によって発生する老廃物のようなものと考えることができます。