発達栄養42 腸の仕組み1

腸は小腸と大腸に大きく分けられます。
小腸は、十二指腸、空腸、回腸から構成され、細く全長が6~7mの管で、栄養素の一部を消化するとともに、90%以上の栄養素を吸収する働きがあります。食塊(食べたものの塊)が通過する腸管内腔側には輪状ひだがあります。輪状ひだは絨毛の構造になっていて、絨毛の中には血管(動脈、静脈)、リンパ管、神経が走行しています。
食塊と接触する側の絨毛の管腔側の細胞は粘膜上皮細胞といい、ここには細胞膜が細い毛のように伸びた突起の微絨毛があります。こういった構造によって、同じ太さ、長さの管と比較すると、その表面積は輪状ひだで約3倍、絨毛で約30倍、微絨毛で約600倍にもなります。このように複合的にひだ状になっていることで食塊と接触する面積を広くし、効率的に吸収できる仕組みになっています。
小腸の表面が平らな管状だったとすると内部の表面積は約0.4㎡でしかないのに、絨毛構造の小腸の表面積は約200㎡と、テニスコート1面(約195㎡)と同じくらいの面積になっています。このような仕組みのため、低エネルギーの食事だった時代には、少しでも多くのエネルギー源を取り込むことができたものの、腸壁の面積が広いことでエネルギー源の糖質や脂質を取り込むことができるようになるため、食べた量に比べて血液中に入ってくる糖質や脂質の量は多くなります。
小腸の温度は37℃となっています。それと同じ温度の環境で食品を放置すると腐敗しますが、消化管で腐敗が起こらないのは、胃液がpH(酸度)1~2の強酸性となっているからで、十二指腸はpH5~6の弱酸性となっています。空腸はpH6~7の中性、回腸はpH8のアルカリ性となっています。空腸、回腸に長時間、食塊が存在していると腐敗することになるものの、空腸、回腸で消化、吸収されているため、腐敗は起こりません。