発達栄養5 発達のための食べ方指導

発達のためには、運動、生活リズム改善、睡眠、休養などが実施されますが、これらと並んで食事と栄養も重要となります。発達障害に限らず、子どもの脳と身体の成長のためには、必要な栄養素を確保することが第一条件となっています。しかし、栄養バランスの取れた料理を出して、それをすべて食べていれば健康が保たれて、成長に必要な栄養素が吸収されて、体内に蓄積されるわけではありません。
1日に必要な栄養素が含まれている食事をしても、1日に3食を食べるのと、1食を抜いて2食だった場合では、吸収も蓄積も異なってきます。人間の身体は歴史的に1日に3食を食べてきたことから、3食を食べて補給できるようになっています。ヨーロッパでは朝食と夕食に多くの種類と量を食べて、昼食は軽く済ますのが基本になっています。
日本では今でこそ朝食、昼食、夕食の3食を食べるのが当たり前とされていますが、日本人の庶民が昼食を食べるようになったのは江戸時代の中期からです。それまでは日が昇って起床をして少し仕事をしたあとに朝食を食べ、日が沈む前後に夕食を食べていました。武士や貴族は昼食も食べていたものの、庶民は夕食までに空腹を感じたときには少しだけお腹に入れるというのが普通の食事習慣でした。
1日に必要な栄養摂取量は「日本人の食事摂取基準」(2020年版)の中に、年代や男女別に掲載されていますが、そこに書かれている量が含まれた食品を食べていればよいというわけではないのです。
もちろん必要な栄養素を確保するのが最低限の条件とはなるわけですが、それに加えて、どんなタイミングで、どのように食べるのかも重要になります。また、食事と運動、食事と休養のタイミングによっても消化、吸収、代謝、蓄積などが変化してきます。
また、噛み方、飲み込み方なども消化や吸収に影響を与えます。こういったことも考慮して、食べ方を考え、それを子どもに対して指導することも脳と身体の成長を促進させるためには重要となるのです。