発達栄養68 3歳までの脂肪の摂取が味覚に影響を与える

味覚は3歳児までに形成されると言われます。3歳までに味覚形成にマイナスとなる要素は減らしたいところですが、それとは逆に親や兄弟と楽しい雰囲気で食事をした、友達と一緒に食べたらおいしかった、配膳などの手伝いをしたら楽しく食べられた、といったプラス要素が加わると、これらのすべてを含めて食事をおいしく食べることができる能力が身についていきます。

子どものときの食事の内容は一生涯の味覚を左右することが多く、塩味が強い食事をしていると薄味では満足できなくなります。出汁の効いたうま味を味覚が発育する幼児期にあまり食べていないと、うま味を感じて薄味でもおいしく感じるという日本人の特徴とされる味覚が育ちにくくなります。

最近は油味という言葉が使われ、第六の味覚とされることがあります。これは脂肪を構成する脂肪酸に過敏に反応する味蕾細胞が、幼いときから脂肪を多く摂ることによって過敏に反応するようになった状態で、子どものうちはおいしく感じないとされる肉や魚の脂肪や、調味料としての脂肪が多い料理をおいしく感じるようになります。

脂肪はエネルギー量が高く、これをおいしく感じることは多くのエネルギー源を摂って活動に使うと同時に、体内に蓄積して飢餓状態に備える重要な能力ともなっています。この能力は成長期から身につくものとされていましたが、幼いときから脂肪が多く含まれる食品・料理を食べていることから早く反応するようになります。さらに、大人になってからも油味が甘味と同じように本能的に抑えにくくなり、生活習慣病の原因になることが指摘されています。

こういった味覚やおいしさの感覚の発育が成長とともに身につけることができないと、好き嫌いの感覚が強くなり、発達障害で特徴的にみられる極度な偏食が強く現れる要因にもなっていきます。