発達栄養は、発達障害児のための栄養学として研究が始まりました。発達障害児であると、子どもであろうと、それ以外の人であろうと、栄養学の基本中の基本が変わることはありません。食べたものが胃で消化され、小腸で吸収され、血液中に入ってからは循環して、内臓や器官で代謝して、大腸を通じて排出されるという一連の流れに違いはありません。
この一連の流れの始まりは食べることで、必要なものを食べれば流れが始まるというように考えられるところですが、発達障害がある子どもは、その始まりの食べることに大きなハードルがあります。
感覚過敏によって五感(味覚、視覚、嗅覚、聴覚、触覚)が過敏に反応すると、食べられないものが多く出てきます。その食べられないものというのは好き嫌いの範疇を超えていて、味が問題なら味を誤魔化せばよいということではありません。食べられないものは絶対に食べられないので、無理に食べさせたり、騙して食べさせるという手段は通じません。
そのようなことをしたために、望まないことをした人のことを嫌いになり、その人が作ったものを食べられなくなるということも起こります。これは栄養学というよりも、心理学など他の分野にもなります。
それでも必要な栄養は摂らなければならないので、食べられるもの、食べられる調理などによって摂取できるようにする必要があります。例えば、野菜がまったく食べられないという子どもにも、もちろんビタミンとミネラルは必要です。そのビタミンとミネラルを摂ってもらうためには、食べられるものの中から探すしかありません。それがサプリメントやジュース、カロリーメイトや乳児向けの粉ミルクになることもあります。
そのような手段まで用いた栄養摂取を指導することも、発達栄養学には必要なのです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)