牛乳に特に期待される栄養素はカルシウムです。カルシウムの平均的な吸収率は約30%となっていますが、牛乳は約40%となっています。コップ1杯(200ml)には227mgのカルシウムが含まれているので、吸収率が40%では約90mgが吸収されることになります。ただ、牛乳だけでカルシウムを摂取しようとしたら毎日9杯以上を飲まなければならないことになります。
吸収率は牛乳の約40%に対して、小魚は約33%、野菜(ほうれん草、小松菜など)は約19%となっています。牛乳の吸収率が高いのは、CPP(カゼインホスホペプチド)という牛乳のたんぱく質を消化する過程で生成される成分によるものと考えられています。
カルシウムは一緒に摂る栄養素によって吸収を高めることができます。ビタミンではビタミンDとビタミンKが有効に作用します。ビタミンDは腸からのカルシウムの吸収を促進すると同時に、血液中のカルシウムを骨まで運ぶ作用、骨を造る骨芽細胞(増骨細胞)の働きを促進する作用もあります。
ビタミンKは骨にカルシウムを定着させるために必要なたんぱく質のオステオカルシンを活性化させ、骨の骨格となるコラーゲンの働きを活性化させます。また、カルシウムが尿から排泄されるのを抑える作用もあります。
ミネラルでは、マグネシウムには骨を造る骨芽細胞を活性化させてカルシウムを定着させる作用があります。
カルシウムは骨の中に貯蔵されて、血液中で不足したときには溶け出して濃度を調整しています。骨はコラーゲンが網の目状になっていて、その間にカルシウムが入り込んでいます。骨を丈夫にするにはコラーゲンの摂取が欠かせないわけですが、コラーゲンは体内のたんぱく質の30%ほどを占めていて、細胞を結びつける役割をしています。コラーゲンは動物性たんぱく質に多く含まれているものの、動物性たんぱく質の摂りすぎはカルシウムの排出を促進するので、肉類の食べすぎには注意が必要です。
植物性たんぱく質が多く含まれる大豆にはイソフラボンが多く含まれています。イソフラボンは女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)に似た構造をしているポリフェノールで、骨からカルシウムが溶け出すのを抑えて、骨密度を保つ作用があります。