発達栄養88 神経伝達物質の役割

脳の発達を促進するためには、脳のエネルギー源になるブドウ糖が不足しない状態であること、ブドウ糖をエネルギー産生のための化合物のアセチルAoCに変化させる水溶性ビタミン(すべての種類の水溶性ビタミン)、細胞のエネルギー産生の小器官のミトコンドリアでのエネルギー産生に必要な4種類のビタミンB群(ビタミンB₁、ビタミンB₂、ビタミンB₆、ビタミンB₁₂)が必要になります。

作り出されたエネルギーは、神経伝達物質を作り出すためにも、神経伝達物質がスムーズに流れるためにも多く必要となります。神経伝達物質は神経細胞の間で電気信号を伝達させる脳内の化学物質で、100種類以上が存在しています。

その中でも食事に関係するのはセロトニン、ドーパミン、アドレナリン、アセチルコリンの4種類で、食べたものに影響されるとともに、消化、吸収、循環、代謝、排泄といった一連の流れに関係して、栄養の摂取にも大きく関わってきます。

発達障害は脳の機能の発達の凹凸とされることがあり、脳神経の材料は足りているのに、配線が正しくされていないようなものとも考えられます。脳は、半導体のように配線が少しでも違っていると電気の通りがスムーズにいかないというものではなくて、他の部分がカバーしてスムーズに働くようにしてくれます。その働きが充分に行われるのか、それとも完全ではないために機能が低下するのかといった違いとなっています。

少しだけ配線が異なっていても、電線の状態、電流や電圧などによって流れは異なり、機能の発揮状態も異なってきます。現在の状態で、できるだけ発揮をさせるためには、神経伝達物質が重要であり、その中でもセロトニンが重要になります。発達障害ではセロトニンが不足していることから、自律神経の副交感神経の働きが弱くなっています。そのために興奮作用があるドーパミンとアドレナリンの働きが高まりすぎて、交感神経が働きっぱなしという状態にもなります。

自律神経の調整が乱れると、落ち着かなければならない状況で興奮が収まらず、逆に機能が高まらなければならないときにテンションが上昇しない、ということにもなるのです。それが昼間は機能を高め、夜は休めるという当たり前の調整ができなくなり、これが心身の成長にも全体的な健康にも影響を与えることになってしまうのです。