食物アレルギーがある子どもは、アレルギー物質を避けるのが第一の対策ですが、いつまでも避けているわけにはいかないので、タイミングをみて少しずつアレルギー物質に慣れさせることも必要だと言われます。
そのタイミングへの考えは専門家でも分かれています。一般には免疫が高まってからがよいと考えられていますが、アレルギー物質と巡りあう時期が遅れると悪化しやすくなります。というのは、アレルギーを起こす物質を口から取り込む時期が遅れると皮膚からの侵入が先になって、身体に備わった免疫機能が働きにくくなってしまうからです。
そのことに関わっているのはTレグ細胞という免疫細胞です。Tレグ(reg)細胞は制御性T細胞とも呼ばれていて、免疫反応を抑える機能を持っています。アレルギー疾患だけでなく、炎症性疾患、自己免疫疾患を起こす過剰な免疫反応を抑制しています。
そのために、食物アレルギーを起こすと、他の免疫反応も過剰に起こりやすくなります。だから、食物アレルギーは早めに治しておくようにすべきだとされています。
アレルギーは免疫の働き過ぎによって起こるもので、本来なら反応が起こらないようなアレルギー物質の量であっても閾値を超えるようになります。閾値というのは、反応を起こさせる最小の量のことで、普通なら反応が起こらないような量であっても反応してしまう状態は「閾値が低い」と表現されます。
食物アレルギーを起こす成分は、口から入ってくるだけでなく、皮膚に触れることでも体内に入っていきます。口から入ったときにはTレグ細胞が働きやすくなるのに対して、皮膚から入ってきたときにはTレグ細胞が働かずに、アレルギー反応が激しく起こることになります。
まさに免疫がないのと同じ状態で起こるのですが、特にアレルギーが激しく出るのは皮膚が荒れているときです。食物アレルギーによって皮膚のアレルギーが起こると以前には考えられていたのですが、今では皮膚のアレルギーが引き金となって、食物アレルギーが強く出て、治りにくい状態になってしまうのです。