発達栄養95 肉の脂肪は同じではない

肉類は部位によって脂肪(中性脂肪)の量も、中性脂肪を構成する脂肪酸の割合も異なっているものの、一般的に食べられることが多い部位で比較すると牛肉は飽和脂肪酸の割合は約14%です。豚肉は約7%、鶏肉は約3.5%となっています。

脂肪の量が多い種類は飽和脂肪酸が多い傾向があります。部位と切り方によっては牛肉も豚肉も脂肪の量は同じに見えることはあっても、牛肉は赤身の中に含まれる脂肪酸が多くて、“見えない脂肪”と呼ばれることがあるくらいで、脂肪酸の量がわかりにくくなっています。

飽和脂肪酸は動物性食品に多く含まれる脂肪酸で、摂取量が多くなると動脈硬化のリスクが高まることから、取りすぎへの注意喚起がされています。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」(2020年版)では、脂質の理想的な摂取量はエネルギーの割合で20〜30%とされていて、そのうち飽和脂肪酸の割合は7%以下とされています。

動物性食品の中でも飽和脂肪酸が多く含まれるのは牛肉なので、肉類を食べて良質なたんぱく質を摂るとしたら、牛肉よりも豚肉、鶏肉を選ぶようにすべきです。そのほうが多くの量を食べて、それだけ良質なたんぱく質を得ることができます。

良質なたんぱく質というのは、必須アミノ酸がバランスよく含まれるものを指していて、体内で合成されないために食事から摂るしかないものをいいます。これに該当するのは肉、魚、牛乳・乳製品、卵、大豆・大豆類です。

なぜ飽和脂肪酸を抑えるように言われるのかというと、飽和脂肪酸は血液をドロドロにしたり、動脈硬化のリスクを高めるだけでなく、糖尿病や炎症を起こすことが確認されているからです。脂肪は重要なエネルギー源であるので、減らし過ぎないようにして、そして血管に負荷をかける飽和脂肪酸を減らして、魚や植物油に多く含まれる不飽和脂肪酸を多めに摂ることがすすめられるのです。