食器に残った洗剤が子どもの健康に影響を与えるという前回の話に続いて、今回は食器洗浄器の話をします。ここでいう食器洗浄器は、家庭用のものではなくて、業務用の食器洗浄器のことです。
業務用の食器洗浄器は、食器を大量に洗浄する食堂や給食などで使われているもので、洗浄剤は業務用の強アルカリ洗剤が使われています、これは油汚れや感染菌を効果的に除去するために使われているものです。アルカリ洗剤は手荒れを起こすようなものなので、食器洗浄器では洗浄後にすすぎをして完全に洗浄剤も落ちた状態で食器に触れるので、手荒れの心配はないと考えられています。
“考えられている”と書いたのは、すすぎが充分に行われて、洗浄剤が残っていないことを前提にした話で、これができていないと洗浄剤が残ってしまいます。その食器を使って食べていれば、洗浄剤も口から入れてしまうことになります。
業務用食器洗浄器は洗浄水の量と勢い(水流)、温度によって洗浄剤の使用量が決められています。その洗浄剤の量は、洗浄水の角度と量、勢いによって効果が出るわけですが、食器の入れ方を誤ると充分に洗えなくなり、すすぎも充分に行えなくなります。業務用食器洗浄器は、ウォーターナイフ効果によって食器に水流が均等に当たることで洗浄もすすぎもできるように計算されていますが、その計算を無視するように食器を重ねたり、詰めて入れることでウォーターナイフ効果が発揮されないことになってしまっているところもあります。
重なってしまったら洗浄もすすぎも充分に行えなくなるのは食器だけでなく、スプーンとフォークも同じことです。スプーンとフォークを同じ向きで入れたら重なった部分は水流が届かなくなるので、向きを変えて入れます。この方法だと、1つの洗浄容器では4本までしか洗えないことになります。それ以上を洗浄するときには、容器を増やす必要があるのに、そうではないところがあるのも事実です。