発達障害の感覚過敏によって、教室での学習に影響が出ることは、これまでにも認識されていて、改善のための方策も検討されてきました。
ところが、体育や競技については感覚過敏が充分に理解されていないために、体育が嫌い、逃げ出したくなる、体育の前に頭痛や腹痛が本当に起こっているという子どもも少なくないのです。
嗅覚過敏は、他の過敏と同様に器官を通じて入ってきた刺激が、選択もされず減弱もされずに脳に伝わっていきます。
におい(匂い、臭い)の感覚は、味覚や聴覚とは違い、過去の経験が好き嫌いの反応に影響することはなくて、不快に感じる臭いは誰にとっても不快となります。その代わり、心地よく感じる匂いは誰にとっても快感となっています。
中には過去の苦しい状況を思い出すことによって不快な臭いとなっていることもあります。その臭いは通常は強めに嗅覚を刺激する成分が起こしています。
この嗅覚の反応が、嗅覚過敏の子どもにとっては刺激が強くなりすぎて、花の匂い(香り)程度であっても、濃縮された強烈な芳香剤のように感じて、苦しくて、その場を逃げ出したくなるような臭いとして感じてしまうことにもなります。
鼻腔から入ってきた臭いに過敏に反応することから、汗の臭いも弱いものであっても不快なものに感じてしまいます。
教室の中での同級生の体臭なら我慢ができても、運動着の臭いは汗が染み込んだ状態で、長く放置しておくことによって臭いが強くなっているもので、嗅覚過敏では少しの汗でも自分の臭いも他人の臭いもつらい状態に感じます。
体操着だけでなく、運動に必要なボールやグローブの臭いもきつく感じて、特に嗅覚の過敏が強い子どもの場合には、他人が触れたものには触れられないということがあります。
感染症予防のために他人が触れるものは消毒・殺菌を行うようにされていますが、その臭いも嗅覚過敏にはつらいものとなっています。
これに汗などの臭いに消毒の臭いが混ざると、さらにきつい臭いとして感じて、このことが運動に集中できない、運動能力が発揮できないということにもつながっています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕