「誰一人取り残さない」という言葉は、今では普通に使われるようになり、使い勝手のよい社会活動などのスローガンとなっています。
これだけ広く認識され、日常の会話でも使われるようになっているので、「新語・流行語大賞」を受賞してもよいくらいで、少なくともノミネートされているのではないかと感じている人もいるようですが、これまでノミネートもされてはいません。
ただ、2021年に「SDGs」がノミネートされていて、これを説明する文の中に「誰一人取り残さない」と書かれています。
SDGs(Sustainable Development Goals)は、2015年9月に国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に、2030年までに達成すべき国際目標として記載されました。
そのスローガンは「誰一人取り残さない−―leave no on behind」で、持続可能な世界を目指した17の目標が掲げられています。今にすると、あと5年後のことです。
ここで初めて「誰一人取り残さない」が登場したわけですが、“誰一人”といっても、手を出し出す(差し伸べる)ことができる範囲は限られています。具体的な行動としては、「最も取り残された人に最初に手を出し出す」ということになります。
発達特性がある子どもがいる家庭では、保護者が子どもに手を差し出すことになり、それを社会的に支援するのが発達特性に関わる、すべての人が目指すところではないでしょうか。
SDGsでは「Development」は開発と訳されていますが、発達支援に関わっている人には“発達”が真っ先に浮かんできたはずです。
発達障害は英語の「Developmental disorder」を和訳したもので、「Sustainable Development」は「持続可能な発達支援」と読むことができます。
ところが、実際には持続ができない、諦めてしまう、ということが多くみられるのが発達支援の現状です。これについては次回(発達特性8)書かせてもらいます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕