発達特性9 発達障害児と社会的障壁の特性

発達障害があると診断された人は発達障害者と呼ばれがちですが、それが正しいのか、それとも間違っているのかという話を書かせてもらいます。

発達障害者支援法では、発達障害者は18歳以上を指していて、18歳未満は発達障害児と年齢によって分類されています。単純に年齢だけで「発達障害者」「発達障害児」と呼ばれるわけではなくて、もう一つの要件があります。それは社会的障壁があるということです。

社会的障壁は、日常生活や社会生活を送る上で障壁(妨げ)となるものを指しています。

障壁というのは、簡単に表現すると道路の段差のようなもので、普通に歩ける人にとっては何も問題がないような段差(3cm程度)でも、車椅子を自分で操作している人にとっては前に進むことができない大きな障壁となっています。

障壁は物理的なものだけではなくて、書類の漢字や街角の表示に使われている文字・記号が理解できないものだと、何も書かれていない、表示されていないのと同じことになり、これが自由な行動を妨げることになります。

発達障害の場合には、日常生活や社会生活を営む上で障壁となっている社会的な事物、制度、慣行、観念を含む一切のものが該当します。周囲の人間が、どのように判断するかではなくて、本人が困難さを感じていることのすべてが社会的障壁となってしまうのです。

この考えは、発達障害者支援法に書かれています。

発達障害者(18歳未満は発達障害児)とは、発達障害があり、そのために社会的障壁が生じている人を指していて、社会的障壁がなければ発達障害者(発達障害児)とはならないということです。

つまり、発達障害者(発達障害児)を作り出しているのは、社会的障壁に気づかず、社会的障壁を継続させるようなことを許している、私たちだと言うことができます。

子どもは家族や学校などの環境に影響されながらも、その環境を受け入れ、従うしかないという立場(社会的弱者)であるだけに、どのような社会的障壁があるのか、それを考え、対処を常にしなければならないということでもあります。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕