発達障害と勘違いされるギフティッド

発達障害が広く知られるようになってきてからというもの、自分の子どもの発達障害を心配して早めに受診させる親も増えています。そのことによって早期発見、早期支援が進むことが期待されているものの、専門医の認識不足のために発達障害と誤診される子どもが少なくないという指摘がされるようになっています。発達障害の自閉症スペクトラム障害、注意欠如・多動性障害は、他の勘違いされやすいこと、誤診されやすいことをスクリーニングで排除して、それでも当てはまるという状態でないと診断すべきではないのです。その勘違いされやすいことの一つとして注目されているのがギフティッドです。
ギフティッド(Gifted)は先天的に平均よりも高度な知的能力を持っている人のことで、アメリカでは「同世代の子どもと比較して、並外れた成果を出せるほど突出した才能を持つ子ども」と教育省が1993年に定義しています。ギフティッドはIQ(知能指数)が高く、特定の学術分野(数学、言語、芸術、音楽など)で高いレベルの潜在能力を持っています。アメリカでは子ども全体の6%ほどとされています。アメリカにはギフティッドの能力を最大限に引き出すためのプログラムが設けられていて、潜在能力を開花させるカリキュラムも開発されています。
それに対して、日本はプログラムどころか、ギフティッドの定義もなく、当然のように診断もされず、発達障害とされてしまうことも少なくないという実態があります。
ギフティッドは自閉症スペクトラム障害と注意欠如・多動性障害の両方と勘違いされることがあるものの、実態がわかれば自閉症スペクトラム障害との混同はなくなり、注意欠如・多動性障害との混同を注意すればよいことがわかります。注意欠如・多動性障害は集中力がない、持続性がない、終わっていないのに次のことに移る、衝動的、他の人の前で自分の行動をコントロールできない、他の子どもに比べてエネルギーが溢れている、たくさん話す、会話やゲームに割り込む、ルールを守るのが苦手、勉強に必要なものをなくす、細かなところが見えていない、批判や評判に敏感といった特徴があります。
これに対して、ギフティッドは集中力がない、つまらないときには空想している、自分に関係のないことは続けられない、多くのことをしても少ししか終わらせることができない、感情的なところがあってパワーを持っている人(教師や親など)とやり合う、エネルギーに溢れている、睡眠時間が長くなくても平気、自分が話す順番でなくても話をする、ルールや慣習・伝統に対して質問をする、ものをなくす、宿題を忘れる、整理整頓が苦手、注意散漫に見える、批判や評判に敏感といった特徴があります。これだけを見ても、注意欠如・多動性障害と勘違いされることが多いことがわかります。