発達障害と勘違いされることの一つに、発達性協調運動障害があります。発達性協調運動障害は「脳性まひや神経や筋肉の病気など、何らかの診断名がついていないにも関わらず、日常生活に支障が出るほどの不器用さがある状態」を指しています。わかりにくい表現をされていますが、簡単に説明すると、極端な不器用な状態で、靴の紐が結べない、平らなところでも転んでしまうということが起こります。
子どもに多くて、発達性協調運動障害がある子どもは、6〜10%ほどだと言われます。自閉症スペクトラム障害と似たようなところがありますが、発達障害は自閉症スペクトラム障害、注意欠如・多動性障害、学習障害を合わせて10%ほどとされているので、かなりの割合だといえます。また、どちらも10%ほどだとしたら、発達障害と発達性協調運動障害の両方を抱えている子どもも多いことになり、発達障害児の支援を考えるときには、発達性協調運動障害についても知っておく必要があるということです。
発達性協調運動障害の子どもは、体の各部分や筋肉を強調して働かせる活動(協調活動)が苦手だという特徴があります。転びやすいうえに、転んだときには腕、頭などを上手に動かして危険がないようにしなければならないところですが、どう体を動かしてよいのかわからず、いわゆる受け身が取れずに、顔から床に突っ込んでしまうことにもなりかねません。
発達性協調運動障害は粗大運動の不器用さと手先の不器用さに大きく分けられます。粗大運動の不器用さのほうは、大きな動き、ダイナミックな動きがスムーズに行えないもので、ジャンプができない、縄跳びが跳べないといったことから、うまく走れないという子どももいます。そこまでいかなくてもラジオ体操の動きがぎごちないことから気づくこともあります。
手先の不器用さは、一般にみられる不器用で、靴の紐が結べないということに加えて、ハサミが上手に使えない、字が上手に書けない、折り紙が折れない、というのが、よくみられることです。