発達障害と精神疾患が勘違いされている

精神疾患の子どもが犯罪を犯すことを恐れて、親が手にかけるという不幸な出来事が報道され、その中で子どもに発達障害があったことが触れられていました。さらに公判で万歳三唱をした新幹線殺人の容疑者も発達障害であったことが報道されました。
テレビ報道は短く多くのニュースを伝えることもあって、充分な説明がないまま起こったことが伝えられるために、事情を充分に理解していないと、誤って伝えられてしまうこともあります。その報道は、あたかも発達障害が精神疾患であるかのような伝えられ方がされ、気になって仕方がないことから、発達障害と精神疾患は違うのだということを、あえて書かせてもらいます。
人数が多ければ、それだけ他の状態と重なることが多くなり、勘違いされることも起こりやすくなります。発達障害は同年齢の中で10%は存在するとされています。日本の令和元年11月の人口は1億2618万人であるので、約1260万人が発達障害と推定されます。知的障害者は約60万人、精神神経疾患は約400万人とされています。統計によって差はあるものの、大雑把に計算すると例えば発達障害者の中に精神障害疾患がある人が40万人くらいいてもおかしくないことになります。
発達障害は脳の発達が通常と違っているために、幼児のときから症状が現れて、自分の不得手な部分に気がつき、生きにくさを感じることがあります。先天的なことであるために、一生涯治ることがないとされています。知的障害は知的発達の遅れのために社会生活に適応する能力に制限がある状態で、知能指数で測られる知的能力の発達と、社会生活に適応する能力の適応能力の両方の状態から判断されます。精神疾患は脳に機能的な障害をもっている状態を指していますが、生活に障害がない場合には精神障害とはされません。
発達障害は脳の発達のズレと呼べるものであり、それだけであれば知的障害も精神疾患もないわけですが、他の要因があって複数のことが現れることもあります。それなのに「発達障害=精神疾患」と勘違いされるような報道は避けるべきです。そのようなことが起こってしまうのは、発達障害がしっかりと理解されていないためで、理解を進める活動の重要性を強く認識しているところです。